サンスポ
阪神・藤川球児監督も眉をひそめる〝球界あいさつ文化〟 広がった一因は「ノムさん詣で」の習慣化?
ベンチで記者団に囲まれる阪神時代の野村克也監督(中央)=1999年6月22日撮影阪神・藤川球児監督(45)が20日、東京都内で行われた12球団監督会議に出席。ソフトバンク・小久保裕紀監督(54)から提言のあった「グラウンド上で他球団の選手、コーチ同士の会話が目立つ」という意見に賛成の考えを述べた。タカ将もトラ将も眉をひそめる試合前の選手同士の〝仲良しクラブ〟。いったい、いつの時代からこれほど増えたのだろう。あいさつは大事だ。必要だ。でも、高校、大学の先輩のところへあいさつに行くにしても、今のように大勢で仰々しくはなかった。以前から、この風潮に否定的だったサンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀さんから聞いたことがある。「大学(法大)の先輩の山本浩二さんにあいさつに行ったこともない。グラウンドでも話さない。打席に入ったら、マウンドから会釈ぐらいはしたけれど。それで十分でしょ」ほとんど阪神しか見ていないから、球界全体でいつごろ増えたか分からない。他球団との交流が増え、自主トレを一緒に行うなどの〝接する機会〟が増えたのは一因だろうが。ただ、阪神で急激に増えた原因として、一つ思い当たることがある。それは、野村克也監督だ。阪神監督時代ではない。楽天監督になってから。交流戦の阪神との戦いの前。楽天ベンチで報道陣に囲まれながらボヤキを披露した。「どうせ阪神の選手はあいさつに来ない。ただ、赤星と桧山だけは来ると思う」予言的中。2人だけだった。タテジマでお世話になったから、当然といえば当然だが、このボヤキが新聞、テレビで全国に流れた。「あいさつに来ない」と言われた形になった選手は、たまったものではない。翌年の交流戦の試合前の〝ノムさん詣で〟のすさまじいことといったら。もともと楽天には阪神在籍のコーチ、選手も多かったから、試合前のあいさつラッシュは尋常ではなかった。野村監督にすれば、ほんの冗談、何気ないひと言でも、影響力がありすぎたのだ。こんな光景をみた若い選手たちも「自分たちもやらなければ」と思ってしまう。その伝統が残っているような気がしてならない。あいさつに行く。話し込む。なれ合っているようにみえる。という悪循環だ。逆に「あいさつに来るな!」と〝拒否〟した選手も知っている。レジェンド鳥谷敬の現役時代。日本ハムにスーパースターの「佑ちゃん」こと斎藤佑樹が入団した。1年目の名護キャンプでのこと。大報道陣に囲まれて歩いていた佑ちゃんは、練習試合でやってきた早大の大先輩を発見。駆け寄ろうとした。これを見た鳥谷先輩は右手を広げて前に突き出し「来なくていい!」。後日、先輩は「あいさつなんて、遠くでお辞儀でいいし。話したければ、報道陣がいない別の場所で話せばいいし」と〝解説〟していた。その通りだ。グラウンド以外で、いくらでも仲良くしたらいい。「あいさつに来ない」「近寄ってこない」「話をしに来ない」とマスコミにボヤく、そんなしゃれっ気のある重鎮も、今の時代にはいないだろう。(上田雅昭)