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阪神・村上頌樹「皆さん面白がってくれたら」2年連続タイトルへ“最遅球”を追求 “自己最高”は58キロ - スポニチ Sponichi Annex 野球
阪神・村上頌樹投手(27)が22日、静岡県沼津市の県営愛鷹(あしたか)球場でヤクルト・青柳晃洋投手(32)らと行っていた合同自主トレを打ち上げた。昨年6月6日オリックス戦(甲子園)で58キロのスローカーブを投じたように、昨季は最速154キロ直球、正確無比な制球力に加えて超スローボールを巧みに駆使し、投手3冠に輝いた右腕。さらなる飛躍を目指す今季へ向け、“最遅”を追い求めることを誓った。
自己ベストを狙うのは最速…ではない。村上が見据えるのは、まさかの“最遅”更新。自己記録の先には、球界記録も視野に入る。「投げたら、皆さん面白がってくれたらいいかなと。(遅球の)自己最高を更新したいなとは思いますね」これまでも“超スローボール”で、何度も球場をどよめかせてきた実績がある。レギュラーシーズンでの自己最遅球は昨年6月6日オリックス戦で広岡に対して投じた58キロ。また、同年の球宴第2戦では非公式ながら56キロもマークした。打者をあざ笑うかのように緩急を使いこなし、18・44メートルの空間を制圧してきた。「そう(武器の一つ)だと思います。あれで球場の雰囲気も変わったり…そういうところもあるので面白い球かなと思っています」一球で球場の空気を一変させ、自らの間合いに持ち込める。見送ってくれればストライクカウントを一つ稼げる――。実利に加え、打者心理を揺さぶる上でも、大きな武器の一つ。ある意味で、“魔球”ともいえる。その極意は意外にもシンプル。意識することは「軽く投げる」というただ一点のみだ。投げるタイミングは、女房役・坂本のサイン次第。「(投げるのが)難しいときもありますけど、もう慣れてきましたね」。もはや、持ち球の一つだ。今回の自主トレでもキャッチボールの際に“遅球”の感覚を確かめた。「あの感覚を確かめるのも練習の一環なので」。23年からの青柳との自主トレも今年で4年目。ノックやブルペン投球などで精力的に汗を流し、「順調じゃないですかね。いい感じだと思っています」とうなずいた。初めて開幕投手を務めた昨季は自己最多14勝など先発ローテーションの柱としてリーグ優勝に大きく貢献。最多勝、最多奪三振、勝率第1位の投手3冠に加え、ベストナイン、ゴールデングラブ賞、最優秀バッテリー賞の“6冠”に輝いた。ただ、エース格に成長しても慢心はない。「キャンプからまた競争が始まる。そこに遅れていかないよう、しっかり自分もアピールしていきたい」調整までスローにはしない。まずは早々に先発ローテーション入りを確定させる。 (山手 あかり)▽村上のスローボール 25年6月6日オリックス戦(甲子園)3回2死、広岡への2球目で大きな弧を描く58キロの超スローボールを投げ、観客をどよめかせた。村上はこの遅球の意図を「次の球を速く見せるため」「球場の空気を変えるため」と明かしている。同年の球宴第2戦(横浜)では、2回2死から万波への初球で56キロを計測した。≪プロ野球の主な遅球の使い手≫☆渡辺省三(元阪神) 50年代に「省やんボール」というスローナックルカーブで周囲を驚かせた。自称50キロ前後。☆高橋重行(元大洋) 日本でスピードガン導入直後の79年に計測された47キロのスローカーブがプロ野球史上最遅ともいわれている。☆星野伸之(元オリックス) スローカーブは時に80キロ台後半。捕手の中嶋聡が素手でキャッチしたことは有名。☆多田野数人(元日本ハム) 超スローボール「ただのボール」はスピードガンでは計測不能。テレビ局の企画では40キロ台と計測された。☆牧田和久(元西武) 17年、メジャー球と同規格のWBC球で投げたスローカーブで84キロを計測。18年に移籍したパドレスでは「野手より遅い」と話題に。☆伊藤大海(日本ハム) 22年の球宴で“最遅球”を予告。第2戦8回に投げた山なりのスローカーブは4球とも計測不能。23年8月5日のソフトバンク戦では53キロを計測した。≪師匠・青柳が愛弟子にアドバイス≫○…青柳は、2年連続で2桁勝利達成を目指す愛弟子にアドバイスを送った。阪神時代の21、22年に2年連続で13勝を挙げた右腕。自身の経験を踏まえ「勝ちは運。だから負けないことをもっと大事にした方がいい。勝ち数は、負けなければついてくるもんなので」と力説した。23年から自主トレをともにし、そこから村上は一気に大ブレーク。その成長ぶりに「3年間、素晴らしい結果を出してるのはすごいなと思う」とうれしそうに目を細めた。