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3月で退任の専大・斎藤監督「選手と触れあう時間が12年 楽しかった」 町田新監督にはエール - スポニチ Sponichi Annex 野球
【伊藤幸男の一期一会】2026年3月で東都大学野球リーグの名門・専大の指導者を退任する斎藤正直監督(65)が「選手と触れあう時間が12年もあって本当に楽しかった」と振り返りつつ、町田公二郎新監督(56)に「歴史の中で流れに乗って、これまで構築した財産と経験を生かして欲しい」と温かいエールを送った。
波乱万丈の野球人生だった。県立秋田高―専大―川鉄千葉で強打の左打者として名をはせ、川鉄千葉の監督としても都市対抗野球で準優勝など4年間結果を残しながらも突然、鉄板を売る“厚板営業”に配属を命じられた。「今まで野球一筋でしたからね。何一つ分からない。3年間はほぼ最終電車で帰宅の毎日でした」。それでも持ち前のバイタリティーで客先との人間関係を構築、営業マンとして突っ走った。その後、子会社出向も同社での稼ぎ頭に成長。ここで再び転機が訪れた。30代に固辞した母校監督を要請されたのだ。「イメージが沸かない」と返事を渋ったが、窮状を知り、意気に感じた。ところが新監督として春先に総勢120人(当時)の部員と顔合わせするといきなり複数の部員が「辞めたい」と訴えてきた。日本新薬の左打者として昨季社会人年間首位打者に輝いた浜田竜之祐内野手(33)だけじゃない。SUBARUの快速右腕として16年都市対抗で日立製作所の補強として都市対抗準優勝に貢献した角田南斗(33)、JR東日本の4番として一時代を築いた渡辺和哉捕手(32)だ。角田は「まだ3、4日しか付き合っていない。お前のボールは次のステージでやれると思う。考え直せ」と説得。自信喪失気味の渡辺にも「野球は面白いって知っている?もう少し一緒にやろう」と励ますと、2人の眠っていた実力が覚せいした。14年秋の1・2部入替戦で角田は3連投、渡辺も3戦3ホーマーと1部昇格の切り札となった。「分からないものなんです」と斎藤監督は話しつつ、少しだけ胸を張った。「自分の中で過大評価かもしれないけど、コミュニケーション不足はなかったと思う」。15年春季リーグは開幕6連勝などスタートダッシュに成功し、89年春以来、52季ぶり32度目の1部リーグ優勝を成し遂げた。それから季節は過ぎても、常に2部リーグで優勝争いをする戦力を維持しつつ、学生と直に触れあう姿勢は変わらない。《新主将が感謝の言葉「3年間愛ある指導》退任する斎藤監督に、工藤翔斗新主将=捕手、大阪桐蔭出=が改めて感謝の言葉を述べた。入部した頃からずっと期待して頂き、特に打撃面で愛ある指導を3年間して頂きました。1年生時から試合で使ってもらい、さまざまな経験させてもらいましたが、大した結果も出せず、監督を1部という舞台に連れて行くことができませんでした。申し訳ない気持ちと悔しい気持ちでいっぱいです。自分は残り1年しかありませんが、主将という大役も任され、チームを引っ張り必ず、1部復帰してやろうという気持ちでいっぱいです。監督の指導がなくなるのかと思うと寂しい気持ちはありますが、自分たちの野球人生が終わるまで見守って頂けたらなと思います。本当にお世話になりました。ありがとうございました。◇斎藤正直(さいとう・、まさなお) 1960年(昭35)秋田県にかほ市生まれの65歳。強打の左打者として秋田高―専大で活躍。同大卒業時、プロ10球団からドラフト指名を打診されるも自身の能力を見極め、社会人野球・川鉄千葉に入社。現役12年間で9度都市対抗出場に導くと、一度は不慣れな営業職を15年間勤め上げたあと、2014年3月から母校監督に就任。3月いっぱいで退任が決定している。