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中畑清氏 “侍ジャパンの頭脳”ヤクルト・中村悠平を直撃 「監督代行」としての役割期待 - スポニチ Sponichi Annex 野球
14日から宮崎事前合宿をスタートさせる侍ジャパンのヤクルト・中村悠平捕手(35)が、スポニチ本紙評論家の中畑清氏(72)の直撃取材に答えた。23年の前回大会で3大会14年ぶり世界一の瞬間もマスクをかぶった世界一捕手。悲願の連覇へ侍の正捕手再奪取を誓い、中畑氏は野手最年長となる同捕手にグラウンドでの「監督代行」としての役割を期待した。(取材・構成 大木 穂高)
中畑 練習を見て思った。バッティングを変えている。ノーステップに近い形。これだと軸がブレない。WBCに対応する準備をしているね。中村悠 正解です。見抜かれてます。中畑 前は足を上げていたけど、それじゃ速い球に対応できない。前回大会の経験から?中村悠 はい。あと単純に日本のピッチャーも速くなっているじゃないですか。足上げていると間に合わないなって。去年の途中からノーステップに近いすり足にしているんですけど、国際大会でもそういう形でいければいいかなと。中畑 レギュラーは俺が獲るという覚悟みたいなものがあるってことだね。中村悠 どんな使われ方になるか分かりませんけど、もちろんスタメンで出る準備をする意識で臨んでいます。中畑 今回捕手は他に若月と坂本がいるけど…。中村悠 基本的には3人で力を合わせて一戦一戦抑えていきたいなと思ってます。彼らにとっては初めてのWBC。前回は僕がその立場でした。甲斐がどっしりしていてくれたおかげで思い切ってやれたし、今回は僕もそういう立場でいたいんですけど、やっぱりスタメンで出たいですね。中畑 前回は米国との決勝戦でウイニングボールをミットに収めた。大谷のスイーパーでトラウトを空振り三振に取ったあの時の感動ってどんな感覚だった?中村悠 時が止まったような感じでした。もう光景が凄くて。大谷がマウンドにいて、打席にトラウトがいて。僕、ここにいていいの?みたいな。中畑 夢の世界だよね。ところで今回はピッチクロックがあってピッチコム(サイン交換機器)を使う。ピッチャーは首振れないんじゃない?中村悠 そうですね。首を振ると時間が間に合わない。中畑 ってことは捕手は覚悟を決めて、これでいくんだっていう信念を持たないとサインを出し切れない。中村悠 いつもはバッターの表情を見ながら指でサインを出すんですけど、それは難しくなる。僕はピッチコムを膝につけているんですけど、隠しながらポンポンと2回押すので、バッターの顔色は見えない。ファウルや空振りの仕方で(打者の狙いを)いち早く察知して、材料を見つけないといけないと思っています。中畑 そこは課題だね。中村悠 はい。国内組はピッチクロックに慣れていないじゃないですか。2週間ぐらいで適応しなくちゃいけないんで、そこの難しさはあります。中畑 今まで経験していないプレッシャーだね。時間的にクリアできる?中村悠 僕は日韓戦(昨年11月)でちょっとやりましたけど、メジャー組が合流したらアドバイスしてもらってバッテリーで共有できればいいと思っています。中畑 大会経験者として若月と坂本には何を一番アドバイスしてあげたい?中村悠 前回出て思ったんですけど、日本のピッチャーは単純に能力が高いので、素直にベストボールを引き出してあげられればいける。考えすぎて“裏の裏”とかいくと表になっちゃったりすることもあるので、シンプルにいった方がいいと思ってます。中畑 なるほどね。今回は悠平が監督代行だと思っている。侍ジャパンにとって大きな存在。その辺の覚悟というのを聞かせてほしいな。中村悠 野球から離れたところでもチームが一体となれればいいなと思っています。短期間でチームが一つになれるよう、野手の最年長としてできることをやりたいです。中畑 大いに期待してる。連覇したいね。中村悠 したいですね。中畑 あの感動をもう一度。最後に“ウイニングボールを俺が捕る”って宣言してくれないかな。中村悠 大谷に“投げろ”って言おうかなと思います(笑い)。“投げない”と言っているけど、彼もシーズンに向けて投げていかないといけませんからね。“最後に投げろ”って。▽中村悠の23年WBC 初出場で全7試合中、捕手最多の5試合に出場して7打数3安打1打点、2二塁打で打率・429。1次ラウンド韓国戦で初スタメンマスク。準決勝メキシコ戦、決勝米国戦を含め4試合で先発出場した。米国戦のみフル出場。9回2死で大谷がトラウトから空振り三振を奪い優勝を決めた瞬間の「ウイニングボール」捕球の場面は、球史に残る名シーンとなった。≪宮崎移動「いろんなことに対応」≫中村悠はこの日、沖縄県浦添市のキャンプ地から宮崎に移動した。「まずは寒さだったりに対応しないといけない。自分のコンディションと相談しながら突き詰めたい」と体調面の対応を口にした。WBC球も気温や湿度などで球質に変化が生じる。その点についても「本当にいろんなことに対応しないといけない」と気を引き締めていた。【取材後記】経験値ってのはでかいんだなとつくづく思った。野手最年長としての自覚を持ち、怠りなく準備している。11日にヤクルトの浦添キャンプをのぞいた時、チームで一番体ができていたもんね。頼もしく思えたよ。宜野座で話を聞いた坂本も「悠平さんを頼りにしてます」と話していたけど、先輩としての立ち位置を自覚しながら、自分が先発でいくんだ、引っ張っていくんだという覚悟も感じられる。柔軟性があって、どんな役割でもこなしていける。「監督代行」としての期待感がますます膨らんだね。またウイニングボールを手にするチャンスがくるんじゃないかなという気がする。昨季はチームで74試合の出場にとどまった。池山新監督の下で「もう一回レギュラーを獲りたい」という意気込みも聞かせてもらったけど、まずはWBC。その存在感を大いに発揮してほしい。 (スポニチ本紙評論家)