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【鬼筆のトラ漫遊記】オープン戦わずか1試合出場…育成嶋村の活躍にかき消される梅野隆太郎の存在感
阪神・梅野隆太郎阪神育成・嶋村麟士朗捕手(22)の出世物語の裏に梅野隆太郎捕手(34)の悲哀あり…。かつての正捕手は失ったポジションを自らの力で奪い返すしかありません。阪神は8日の巨人戦(甲子園)を終えた段階でオープン戦6試合を消化。連覇を目指す藤川球児監督(45)の采配で目立つのはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の侍ジャパンに選ばれた坂本誠志郎捕手(32)が不在の捕手のポジションに育成2年目の嶋村を全試合起用している点です。若虎が目立つ陰でかつての正妻・梅野は…。競争社会では結果を残すしか逆襲の糸口はありません。なんだか野球好きには至福の日々ですね。お昼には阪神を中心とするプロ野球のオープン戦を見て、夜になると侍ジャパンの試合がある。連日、一日に2試合野球を見て、その合間に競馬中継があり、大相撲春場所まで始まった。地球の遠く離れた場所ではミサイルが飛び交い、人々が薄暗いシェルターに避難しているのに、こんな幸せな時間を過ごしていいんだろうか…ととても申し訳ないような気持ちにもなります。この原稿を書いている段階で、侍ジャパンは台湾、韓国、オーストラリアに3連勝し、1次リーグの首位通過を決めました。さすが大谷翔平、さすが鈴木誠也、凄いぞ吉田正尚…。でも阪神を見続けている者からすれば、佐藤輝明をもっとスタメンで使ってよ!森下翔太を起用しないなら阪神に返してよ! ってブツブツ言っている自分もおります。全くタイミングの合っていない岡本和真や打撃不振の近藤健介を、それでもスタメン起用する井端監督様、どうかご一考を…。コレ、阪神贔屓の偏った考えでしょうか、皆の衆…。さて、今季に球団初のリーグ連覇を目指す阪神はここまでオープン戦6試合(3勝2敗1分け)を消化しました。残るオープン戦は9試合。27日の巨人との開幕戦(東京D)まで2週間と少しです。すでに村上頌樹の開幕投手を公表している藤川監督の先発ローテーション構想も徐々に輪郭が明らかになっています。左腕の大竹、高橋が巨人3連戦に先発し、才木、新外国人投手ルーカス、伊原か伊藤将が31日からのDeNA3連戦(京セラ)に向かうものと見られます。また、新外国人ディベイニーが7日に2軍落ちしたので、懸案のスタメン遊撃は小幡が最有力で、木浪が競っている状況ですかね。WBC出場でチームの中心軸である4番・三塁の佐藤、3番・右翼の森下は不在ですが、あとの戦力的な骨格はかなり明確に見えてきました。全体像がクッキリと見え始めてきたので、余計にアレレ、これはいよいよ…と思う部分もありますね。それが捕手のポジションです。昨季、117試合に出場、打率・247、2本塁打、27打点の坂本がWBCに出場。チームを離れたのはキャンプ中盤の2月13日でした。なので指揮官は2月21日の中日戦(北谷)から始まったオープン戦では坂本不在の中で捕手を起用しているのですが、ここまでの試合出場数は日本ハムから島本とのトレードでやってきた伏見寅威が3試合、長坂拳弥が1試合、町田隼乙が1試合、梅野が1試合です。そして育成の嶋村が6試合全てに出場しているのです。育成2年目の嶋村は念願の支配下登録に向けて猛アピールしています。8日の巨人戦では1ー3で迎えた八回1死からライナーで右翼席に飛び込むオープン戦1号。6日のソフトバンク戦(甲子園)でもスタメン起用されるとフル出場で3安打。「誠志郎さんが帰ってきても『嶋村を使いたい』と首脳陣の方に思ってもらえるようにオープン戦を戦っている。もっとアピールしなきゃいけないし、まだまだ課題も多いので、克服していきたい」と意気込みを語っています。オープン戦6試合の成績は11打数6安打1本塁打。打率はなんと・545です。このまま嶋村がアピールし続ければ、開幕時には支配下登録を勝ち取るでしょう。さらにシーズンに入り、1軍捕手3人制となれば、今の起用法を見る限り、正妻が坂本で2番手は伏見、そして3人目の捕手は嶋村か長坂、栄枝? こうなってくると、そこには梅野の名前がありません。嶋村の出世物語が奏でられる陰で、梅野の存在感は薄れていく一方ですね。梅野は昨季、52試合に出場し打率・220、0本塁打、2打点。スタメン出場も坂本が108試合だったのに対して、わずか32試合でした。18ー20年は選手会長を務め、ゴールデングラブ賞も獲得しました。それが24年8月13日のヤクルト戦(京セラ)で左手首を死球により骨折して以降、出場機会が徐々に減っていきました。今年の春季キャンプは具志川スタートです。オープン戦でも2月22日のヤクルト戦(浦添)で1試合起用されただけですね。「岡田監督時代は、梅野と坂本のスタメンマスクの割合について『6対4で梅野』と監督は言っていた。しかし、藤川監督に交代した昨季から立場は完全に逆転した。指揮官の好み…というよりも、梅野の特長は打てる捕手だったはず。それがここ数年、全然打てていない。打てないなら守りの面で総合力が上の坂本を使うことになる。それは誰が監督になっても同じではないか」と阪神OBの一人は話しました。取得した海外フリーエージェント(FA)の権利を行使せず、残留を決めたのが昨年11月10日。17日には25%減俸の推定年俸1億2000万円の単年契約で締結しました。その際には「この1年は出場機会が少なかった。また活躍する姿をファンに見せたい。戦力として戦える準備をしたい。リーグ連覇に向け、自分の役割をしっかりやっていきたい」と意気込んでいました。WBCに出場した坂本がチームに再合流するのは20日からのオリックス3連戦(京セラ)が有力でしょう。厳しさを増す開幕1軍の枠…。それでも歯を食いしばって結果を残さなければ、開幕どころか、シーズンでも1軍の壁は厚くなる一方でしょう。どこまで腐らず結果を追い求めることができるのか。プロ13年の男は間違いなく剣が峰に立たされています。■植村徹也(うえむら・てつや)サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て客員特別記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、野村克也、星野仙一の両氏の阪神監督招聘を連続スクープ。オープン戦日程へ