日刊スポーツ
福井を盛り上げる2人の侍 WBCで活躍の吉田正尚と中村悠平 PVで老若男女が応援/寺尾で候
日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。◇ ◇ ◇福井がWBCで活躍する“おらが町”のヒーローで盛り上がっている。地元は年明けからどっさりと雪に見舞われたが、春を感じさせるホットな話題。ちょっと前までは「福井ってどこにあるの?」と聞かれて肩身が狭かったが、最近はそうでもない。24年の北陸新幹線の延伸開業で、都心からもグッと身近になった。“恐竜王国”と称されるテーマパークも全国的人気。その雪国を熱くしているのは、侍ジャパンで日本代表メンバー入りしている中村悠平(ヤクルト)と吉田正尚(レッドソックス)の2人だ。吉田の実家がある福井市は、米国・マイアミでの準決勝、決勝を、ショッピングセンターの「エルパ」でパブリックビューイング(PV)を開催することを決定。第2戦の韓国戦(7日)に続いての試みだ。福井市でPVを担当するスポーツ課・松宮大起(ひろき)も「未来のスターを夢見る子供たちの姿に、こちらも涙腺が緩んで、熱いものがこみ上げました」と感激した様子だった。当日、吉田が劇的な本塁打を放つと、少年時代に所属した少年野球チーム「麻生津ヤンキース」の子供たちも声を張り上げた。年末に帰省した際に激励した監督・小谷誠二も教え子の晴れ姿に目を細める。「年末に会ったときに『WBCに出たい』と言ってましたからね。もともと“ここ一番”に強い子でした。最初はキャッチャーだったんですよ。なんと言っていいか、すごい活躍で十分に満足してます。これから米国で強敵と対戦しますが、こちらとしてはレギュラーシーズンもありますし、ケガせずに乗り切ってほしいです」福井県は全47都道府県の「幸福度ランキング」(一般財団法人日本総合研究所調べ)で、12年連続トップ。医療、福祉、教育、産業、雇用など地域の結びつきが高いことで評価されている。デジタル度は全国1位、ものづくり県として、繊維、鯖江の眼鏡は世界的に有名だ。宇宙、ヘルスケアの新分野にも進出。中小企業が集中し、人口当たりの社長輩出率がこれまた全国1位で、日本でもっとも“社長”が多い。東尋坊、丸岡城、永平寺、一乗谷朝倉氏遺跡、大野城など古刹(こさつ)巡りができ、越前海岸、陶芸村、和紙の里、三方五湖などの観光スポット、ふくい桜マランソン、スキージャム勝山、三国花火でイベントも目白押しだ。巨人の北陸遠征で、宿泊先になった“関西の奥座敷”で名湯・あわら温泉の「お・も・て・な・し」には、監督・阿部慎之助が「20数年ジャイアンツにいるけど一番」と絶賛した。坂本勇人、丸佳浩らが「ナンバーワン」と口をそろえたほどだった。実際、越前がに、おろしそば、若狭牛、ふぐ、サバ、ソースカツ丼、福井梅、上庄さといも、羽二重餅、水ようかん…。海と山のグルメは“食の宝庫”で、中村も、吉田も“日本一、幸せな県”ですくすくと育ったのだ。また中村の実家がある大野市の「エキサイト広場」では、WBCの全4試合でPVが開催された。大野市秘書広報室・前田啓佑(けいすけ)は、準々決勝以降もPVを継続し、市民一体となって応援することを明かした。「小さい町ですが、老若男女、地元市民のみなさんが集まって応援できるいい機会になりました。若い人はネットフリックスと契約しているケースもあると思いますが、市民で一緒になって応援したいと、多くの人が来場しています」侍ジャパンが地方創生に一役買うとすれば、このまま海の向こうでも熱戦を演じ、願わくば勝ち切ることを祈るばかりだ。(敬称略)