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【球界ここだけの話(4086)】WBCで感じた母国を背負う重さと一発勝負の怖さ 初めての取材後記
準々決勝でベネズエラに敗れた大谷翔平(中央)ら侍ジャパン第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、ベネズエラの初優勝で幕を閉じた。決勝では「ドリームチーム」と呼ばれた米国を撃破。選手やコーチたちの目には涙が見えた。それだけ国を背負って戦うということは重く、大変なことなのだと改めて感じた。日本代表「侍ジャパン」は準々決勝でベネズエラに敗退。大会連覇の夢がついえたどころか、史上ワーストの8強止まりだった。試合後、選手たちは一様に下を向き、目を赤くした人もいた。井端弘和監督(50)はマイアミ国際空港から出国する際も、決して顔を上げなかった。マイアミ国際空港から帰国の途につく侍ジャパン・井端弘和監督は伏し目がちだった優勝すれば英雄として迎えられ、負ければ「なぜ勝てなかったのか?」と糾弾される。日の丸を背負うことは名誉なことでもありながら、とても酷なことでもある。そんな中、村上宗隆内野手(26)=ホワイトソックス=が「すごく特別なことだと思ってますし、良くも悪くもいろいろなことを言われながらやるのが僕らの責任だと思う」と発した言葉が印象的だった。並々ならぬ覚悟を持って、あの舞台に立った侍たちに改めて拍手を送りたい。決勝で米国を破って初優勝を果たし、喜ぶベネズエラの選手たち(AP=共同)ただ、一発勝負の怖さを痛感させられたこともまた事実だ。準々決勝のベネズエラ戦。明らかに試合の潮目が変わったなと感じた瞬間があった。四、五回の攻防だ。日本代表は3点リードの四回裏に1死一、二塁の好機を作った。迎えたのは1番・大谷翔平投手(31)=ドジャース=と、2番・佐藤輝明外野手(27)=阪神。ここで一打出ればリードは広がり、試合展開も変わっていたかもしれないが、まさかに連続三振。スタンドのベネズエラファンは大歓声をあげていた。五回表。山本由伸投手(27)=ドジャース=から隅田知一郎投手(26)に代わった。そこで、先頭のチョーリオを四球で歩かせてしまった。「投手が代わった直後」「好機で凡退した直後」「先頭打者への四球」。流れが変わりそうな要素が全て詰め込まれていた。結果、1死後にガルシアに2ランを被弾。流れは一気にベネズエラに傾いた。実はWBCの取材は初めてだった。国際舞台にはほぼ無縁で、今回はさまざまな事情が重なり、取材することが実現した。現地に入ったのが、準々決勝前日の13日(日本時間14日)の午後9時半ごろ。約24時間後に始まった試合だけを見て終わってしまったが、あの数時間の記憶は一生残るものになった。(赤尾裕希)日程・結果へWBC各国メンバーへ