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【内田雅也の追球】「アウトハイ」の奪三振 - スポニチ Sponichi Annex 野球
好投の阪神・村上頌樹の投球で目をひいたのは決め球のアウトハイ(外角高め)だった。いくつかあげてみる。
▽1回裏2死、杉本裕太郎にカウント2ボール―1ストライクから外角高め直球で連続空振りを奪い、三振に仕留めた。▽3回裏1死一塁、西川龍馬を1―2から外角高めにカッターを投げ、見逃し三振を奪った。▽4回裏1死、中川圭太を1―2から外角ベルト辺に直球を投げ、空振り三振を奪った。▽5回裏2死、宗佑磨に1―2から外角高め直球を投げ、見逃し三振を奪った。この夜の奪三振6個のうち、4個を外角高め(ベルトより高め)で奪っている。西川へのカッターを別とすれば、他3個は外角高め直球だった。このアウトハイを狙っていたのではないか。捕手・坂本誠志郎がアウトローとは違い、どこかぼんやり構えていたように見てとった。狙いだったか否かはともあれ、アウトハイは近年の野球で一つのテーマだ。大リーグでは打者のフライボール革命への対抗策としてアウトハイが注目された。先のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を見ても分かるように、高めで打ち取る球威がほしい。その球威とは――球速もあるが――回転数である。村上の直球は平均毎秒2400~2500回転で国内トップ級だ。150キロ以上なくても「伸び」があれば、アウトハイで打ち取れる。この夜の投球が証明している。先に<近年のテーマ>と書いた。日本では「高めは禁物」で、野村克也は「アウトローが原点」と唱えていた。ただ、昔気質と勘違いされる岡田彰布が2022年秋、阪神監督に復帰した当時、投手陣に命じていたのは「アウトハイにスピンの効いた(回転数の多い)直球を投げろ」だった。「右投手なら右打者のアウトハイ、左投手やったら右打者のベルトのちょこっと上ぐらい。自分のストレートの威力をもう一段階上げるんや」現監督・藤川球児も現役時代は高め速球が武器だった。当時球団本部付特別補佐(SA)で「高めを磨けば、低め変化球とあわせ、投球の幅も広がる」と解説していた。村上は昨秋早々に藤川から開幕投手に指名された。京セラドームでの今春初ナイターを経て、本番(東京ドーム・ナイター)への準備は整ったとみている。 =敬称略= (編集委員)