スポニチ
【内田雅也の追球】無失策が示す「大丈夫」 - スポニチ Sponichi Annex 野球
阪神には昔から、たとえ負けようが「守れている間は大丈夫」という言い伝えがある。今は2軍監督の平田勝男が1軍ヘッドコーチ時代、あるいは吉竹春樹が1軍チーフコーチをしていた当時によく聞いた。
チームが崩れるのは守備から破綻していくという考え方である。広い甲子園球場を本拠地とし「投手を含めた守りの野球」をチーム作りの根幹に置いてきた歴史、そして伝統がある。9回裏、広島エレフリス・モンテロのサヨナラ本塁打で敗れたこの日も失策はなかった。これで開幕から9試合連続無失策である。1964(昭和39)年の開幕8試合連続を更新する球団記録らしい。ちなみに64年は9試合目(3月31日・国鉄戦=神宮)で初回に名手・吉田義男が遊ゴロをジャッグルし、チーム初失策を記録していた。この日もマツダスタジアムの内野天然芝の上を難しいゴロが転がったが木浪聖也、中野拓夢らがうまくさばいていた。内野安打はあったが、失策がつくようなプレーはなかった。もちろん守る選手たちの技量が上がっていることもある。さらに言えば相手打者の打球傾向や状況に応じて守備位置を変えるポジショニングが成功している側面もあるようにみている。いずれにせよ、しっかりと守れている今は「大丈夫」な状態である。もう一つ、明るい材料がある。好投の栗林良吏から1点をもぎ取ったのは代打陣の働きがあった点である。0―1の8回表、先頭の代打・高寺望夢が二遊間突破の中前打で出塁した。1死二塁となり、代打の坂本誠志郎が三遊間突破の左前打で一、三塁とした。続く近本光司が左犠飛をあげて同点としたのだった。前日まで阪神の代打成績は14打数1安打で打率は1割にも満たない7分1厘だった。むろんリーグ最低である。優勝した昨季も代打成績は唯一の1割台(1割7分8厘)でリーグ最低だった。代打は数少ない強化ポイントだったわけだ。監督・藤川球児の起用が当たったわけである。東京ドーム、京セラドーム、マツダスタジアムで3カード連続で勝ち越して、ようやく甲子園に帰る。あす7日からは好調ヤクルトとまみえる。解禁となるジェット風船も舞う。大観衆が待っている。 =敬称略=(編集委員)○…阪神の開幕から9試合連続無失策は、2リーグ制以降では64年の開幕8試合を更新する球団新記録となった。なお、他球団を含めた2リーグ制以降の最長は、73年広島の開幕10試合。9試合は今回の阪神以外に、09年オリックスと19年DeNAが記録。阪神は7日のヤクルト戦で2リーグ制以降最長に並ぶか。