サンスポ
【元虎番キャップ・稲見誠の話】2回40球で空振り1…年数関係なく訪れる〝2年目のジンクス〟…阪神・及川雅貴はどう克服する?
阪神・及川雅貴あれだけ空を切っていたバットが1年も経たないうちに、ピタリと止まる。変化球にバットが不動の時もあった。何とか当てて、ファウルになることも。打者は体勢すら崩れない。伝家の宝刀スライダーの軌道を研究されて、読まれているのか。キレが悪いのか。マウンドで半信半疑になれば、自滅は必至。たった2試合登板でブルペン陣のキーマンだった阪神・及川雅貴が1軍マウンドから姿を消した。今季初登板は3月29日の巨人戦(東京D)。5-5の七回に出番が回り、簡単に2死を奪ったものの、泉口友汰にソロ本塁打を右翼席に運ばれた。完璧な当たりだった。この試合は打線が爆発して、勝ち投手になったが、打者4人に15球を投げて、1安打。空振りは松本剛から奪った三振の際のハーフスイングの1球のみ。2日のDeNA戦(京セラ)で2点リードの八回に登板。先頭打者への四球から無死満塁の窮地を招き、宮崎敏郎の二遊間へのゴロを中野拓夢が好捕したことで、何とか同点を免れた。結局、この試合では5人の打者に25球を投げて、2安打1四球。空振りはまさかのゼロ…。2試合登板で防御率は9・00。計40球投げて、空振りはたったの1。最悪の想像をら遙かに超えた結末だった。「力が足りないと思うんで、上げていきたい。何とか状態を上げていくしかないと思いますし、いろいろ、やることがあると思うんで」3日、広島へと移動した本隊から離れて、2軍に合流した及川のコメントだ。昨季は両リーグ最多の66試合登板で、6勝3敗1セーブ、46ホールドで防御率0・87。プロ野球記録の18試合連続ホールドを記録するなど圧巻の内容だった。契約交渉では7000万円増の推定年俸1億円で更改した。バラ色のオフを満喫したが、別に慢心したわけではない。そんなタイプではない。年数に関係なく訪れるであろう〝2年目のジンクス〟に向けて、藤川球児監督の言葉を借りれば「アスリート」として日々を過ごしていたはず。それなのに…これが野球の怖さだ。日本人だけで17人もの1億円プレーヤーを抱える阪神。当然、全員が1軍で活躍しているわけではない。西勇輝(年俸3億円=推定、以下同)梅野隆太郎(1億2000万円)、岩貞祐太(1億円)、外国人選手に目を向ければキャム・ディベイニー(約1億4000万円)、カーソン・ラグズデール(約1億3000万円)らが昇格を目指す中で、及川までもが加わった。予想外の降格だった。「ちょっと多すぎるよね。ホームラン」。岡田彰布オーナー付顧問の言葉通り、今季は中継ぎ陣の被弾が目立つ。及川が本塁打を浴びた3月29日の巨人戦では湯浅京己がボビー・ダルベックにソロを許し、3日の広島戦(マツダ)では桐敷拓馬がエレフリス・モンテロに左翼席へ運ばれ、4日の一戦は木下里都が2発食らい、5日の3回戦では桐敷が再びモンテロに痛恨のサヨナラ弾を浴びた。3戦4被弾でいずれもブルペン陣。中継ぎ陣の一発グセに加えて及川不在。それでも戦力が揃う虎投なら耐えられる。そこがこのチームの最大の強みだ。いずれにしても及川にとって1軍への近道はない。どこにメスを入れればいいか…の正解もない。昨季からの疲れを完全に取り払えばいい、というモノでもないだろう。「(期限は)ないですよ」。めどを定めることなく復肩の道を探す。中継ぎで空振りが取れないのは致命的。ちょっとしたことでマウンドとバッターボックスの力関係はガラリと変わる。後手を踏んだ人間が流れを戻すには相当の力と時間が必要だ。悩める若き左腕の底力が試される。■稲見 誠(いなみ まこと)1963年、大阪・東大阪市生まれ。89年に大阪サンスポに入社。大相撲などアマチュアスポーツを担当し、2001年から阪神キャップ。03年には18年ぶりのリーグ優勝を経験した。現在は大阪サンケイスポーツ企画委員。プロ野球日程へ