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阪神・藤川監督の“虎の巻” 今季導入「メジャー流ポジショニングメモ」で挑むセ界最速の監督100勝 - スポニチ Sponichi Annex 野球
阪神は15日の巨人戦(甲子園)が降雨中止となった。首位ヤクルトを0・5差で追う2位のチームを率いる藤川球児監督(45)は、監督通算100勝まであと4勝。7試合以内に達成すれば、巨人の原辰徳元監督が持つセ・リーグのスピード記録167試合を更新する。今季から導入した「メジャー流ポジショニングメモ」で大胆な守備シフトを敷き、偉業に挑む。
佐藤輝がもぞもぞとお尻の右ポケットに手を入れる。出てきたのは手のひらサイズのメモ。それにチラッと目を通してから守備位置を調整するのが、今季のルーティンになっている。いや、佐藤輝だけではない。内野陣の誰もが、その“虎の巻”をポケットに忍ばせている。打者が変わるたびに確認し最適なシフトを敷いているのだ。「あれを見ておくことでバッターの傾向がわかる。投手の左右によって打球の飛ぶ方向が大きく変わるので、その都度チェックしていますね」中野はそう種明かしをした。3連勝を飾った12日までの中日戦でも、不動の二塁手によるファインプレーが光った。それは本人の卓越した技術もさることながら、事前情報が密接に関係している。投手の左右ごとに異なる打球方向をコーチやスタッフが綿密に割り出し、打者によって変わる守備位置をエリア別で記しているのだ。遊撃を守る小幡も「あれがあるとすごく楽。頭に入りきっていない打者の打球傾向がすぐにわかる」と効果を強調した。藤川監督は就任1年目から守備シフトを積極的に採用してきた。球足が速くなる人工芝の球場では、特に大胆に守備陣形を動かした。球団初のセ・リーグ2連覇を狙う今季は、データ野球がさらに加速している。メジャー流の「ポジショニングメモ」を導入したことで、失策を未然に防ぐだけでなく、安打性の当たりをアウトに変えてきた。球団記録となる「開幕から9試合連続無失策」、さらには「開幕から5カード連続勝ち越し」など、貯金6で2位につけるチームの好発進を支えてきた。監督としては、ここまで159試合で96勝。あと7試合以内に4勝を挙げれば、巨人・原監督の167試合を抜き、セ・リーグ監督最速で100勝に到達する。しかし、選手ファーストを貫く指揮官は、自身の記録には一切の関心を示さない。「まあいいじゃない。それよりは雨で中止だから、今日は何を食べようかみたいな感じで」けむに巻くような笑顔の裏で、その頭脳は働き続ける。緻密なデータ戦略が、スピード勝利の原動力になっている。(倉世古 洋平)