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【元虎番キャップ・稲見誠の話】〝健康〟ではなくなった阪神…近本死球離脱、藤川監督の手腕問われる初夏到来!
26日の広島戦の八回、死球を受けた阪神・近本光司明らかに怒っていた。阪神・藤川球児監督の心中が手に取るようにわかった。近本光司が死球を受けた26日の広島戦(甲子園)後の勝利インタビュー。セ界最速タイの100勝を飾ったものの、心は晴れなかった。「今、病院に行っているんですけど、あまり当たりどころが、いいとは言えないですし、相対的に見てちょっと多いね。デッドボールを当てられるケースがね。野球を守らなければいけないので、こちらもグッと我慢をしていますけど、多いね」別に野球を守る必要なんてない。そもそも、我慢すれば、野球を守れるのか。守られる野球って一体…。やられたらやり返すーは野球を壊すことになるのか。いろんな疑問が浮かんだが、とにかく怒り心頭。結果は「左手首の骨折」。最悪の診断だった。25日の一戦では森下翔太が左手首に死球を受けていた。2025年4月20日の試合では坂本誠志郎が頭部に死球を受けた。本人が大丈夫だと言っている状況で、虎将はベンチを飛び出して広島サイドにかみついた。あの光景を思えば確かに我慢をしていた。「多いね」と怒りは限界を超えていた。健康、健康、また健康…。口を開けば、選手の無事を祈っていた。今まで、こういった大きなアクシデントがなかったのが不思議なくらい。受けた死球はリーグ2位の11(最多は12のDeNA)。練習から目を光らせて、注意喚起をしても、選手が打席に入れば、一気に無力になる。ついに、この日が訪れた。D1位入団の近本はルーキーイヤーの19年から7年連続して規定打席に到達。盗塁王6度、最多安打1度で、すべてのシーズンで戴冠した不動の1番打者が、28日のヤクルト戦(神宮)から不在となる。23年は死球で右肋骨を骨折し、7月4日に抹消されたが、22日には登録された。今回は早期復帰は望めそうにない。痛すぎる長期離脱だ。センターで5年連続のゴールデングラブ賞とベストナインを受賞している男の離脱を受け、中堅は福島圭音か、小野寺暖か。いつもは左翼に入る福島なら、レフトは前川右京か、高寺望夢か。中川勇斗は2軍で調整中だ。森下が入ったケースの右翼選手も気になる。それでなくても、悩みはある。24試合でリーグワーストの19被本塁打を食らっている投手陣だ。リーグ順位5位の広島は22試合消化で9本。昨季の阪神は同試合消化で3本だった。セ界を制した投手陣が、一転して前年比6倍超の本塁打を喫する異常事態だ。先発陣では才木浩人が3被弾、村上頌樹、伊原陵人、イーストン・ルーカスの3人が、それぞれ2で大竹耕太郎、茨木秀俊が各1。中継ぎ陣では桐敷拓馬、木下里都が2で、及川雅貴、早川太貴、湯浅京己、ダウリ・モレッタの4人が1だ。防御率3・15、失点80は、いずれもリーグ4位。それでも首位に立つ。森下、佐藤輝明、大山悠輔のクリーンアップ、近本と中野拓夢が日替わりで、けん引するから、貯金がある。〝5強〟が崩れた。投打のバランスに生じた歪みに、藤川監督はどう対応するのか。大げさに言えば就任2年目で初めて、チームが〝健康〟ではなくなった。昨季も、今季も他の5球団の監督が頭を悩ます主力不在という状況を藤川監督がついに味わう。逆風が吹いた。強力打線である以上、内角への投球は増える。今回の一件で他球団が配慮して、死球の危険が減ることはない。怒りをこらえて采配をふる虎将の手腕が問われる初夏が訪れた。■稲見 誠(いなみ まこと)1963年、大阪・東大阪市生まれ。89年に大阪サンスポに入社。大相撲などアマチュアスポーツを担当し、2001年から阪神キャップ。03年には18年ぶりのリーグ優勝を経験した。現在は大阪サンケイスポーツ企画委員。プロ野球日程へ