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【内田雅也の追球】嘆かずに明日を望む。 - スポニチ Sponichi Annex 野球
阪神は巡り合わせが悪かった。相手を上回る12安打を放ったが、10本が2死後に出たものだった。喫した3併殺も快打が野手の守備範囲内に飛んだものだった。
野球ではこんなことが起きる。監督も選手もどうすることもできない。「それも野球ですからね」と敗戦後、監督・藤川球児は言った。大リーガーたちもよく口にするセリフで、不運を嘆かず胸にしまう時に使う。そう、嘆いていては幸運はやってこない。失点には守備の乱れがついて回った。1―0の5回表は2死一、二塁から投手・加藤貴之に適時打を浴びて同点。水野達稀に勝ち越し打を浴びた。さらに一、三塁での二盗に離塁の大きかった三塁走者・加藤を刺そうとした坂本誠志郎が打者と交錯し、送球が乱れた。藤川は「故意でないことはわかっているが接触したので」と守備妨害だと抗議したが審判団は「自然な動き」と判断。3点目を失った。7回表1死一塁ではボテボテの一ゴロを大山悠輔が二塁を見てから一塁を踏んだがセーフ。内野安打にした。打者走者・五十幡亮汰は俊足だが「NPB+」によると、この時の一塁到達は4秒11。平凡と言わずとも少し速い程度で、大山も速度を計算してのプレーだったろうが、結果は結果だ。2死後、連続適時打で2点を失った。乱れと書いたが、ミスと断じることはできないプレーだった。選手たちは懸命だった。<ベストを尽くせば、負けることは恥ずかしいことでもなんでもない>と大リーグの名将、スパーキー・アンダーソンが著書『スパーキー!』(NTT出版)で記している。3点を追う9回裏も2死から安打と四球で佐藤輝明に回した。一発同点の期待のなか、3球とも打ちにいったが、ファウル、空振り、空振りに終わった。豪快な三振だった。雨のなか、ため息が銀傘に響いた。<最後の打者がアウトになる度に必ず“明日があるさ”と思うようになった>とスパーキーは記す。<いや、正確にいえば“明日があるさ”ではなく“明日が来てくれれば”と思うのだ。ここには大きな違いがある。わたしは明日が来ることを望むようになっていた>。なるほど、明日に希望をみているわけだ。藤川もまた「明日」だと言った。 =敬称略= (編集委員)