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【鷲田康・球界インサイドリポート】巨人・阿部前監督、辞任だけが答えではなかったようにも思う
会見で涙を流す巨人・阿部慎之助前監督巨人・阿部慎之助監督の辞任は、衝撃的だった。子供同士のケンカの仲裁に入った際に手を上げた結果の監督辞任。問題の広がりの大きさに驚きを隠せない。一方で今回のマイナスな影響を危惧してしまう。ここまで騒動が大きくなった発端は、長女が生成AIのアドバイスで児童相談所に通報したことだった。もちろんこの行為自体は決して間違いではない。ただ、この通報が、実際よりかなり激しい内容だったという話を聞く。長女自身も「過度な状況説明」であったことを認めている。その過度な説明に児相の担当者が、警察にすぐに通報。警察も自宅に急行し、逮捕という結果を招いた。長女自身は手紙で「警察が来たことに驚き」「父親が連行される姿に泣き崩れた」と説明している。事態は彼女が児相に連絡した時点では、想像もしていなかった大事になり、結果は父親の監督辞任である。彼女の胸中を思うと、痛ましさを禁じ得ない。彼女がいま、この巻き起こった現実に、どういう気持ちでいるのか。そのことを思うとつらくなるし、今後のケアを含め、大きな課題を残したと思う。そしてこれは彼女個人の問題では収まらない、という危惧も出てくる。これだけの大事に発展したことで、子供たちが児童相談所に駆け込むハードルが高くなってしまわないか。特に家庭内暴力などがまだ些細(ささい)な段階で、それでも思い悩む子供たちが「親が仕事を失い、家庭が崩壊するのではないか」と児相に駆け込むのを躊躇(ちゅうちょ)するようなことになってしまわないか。社会的影響が大きくなればなるほど、そういう余波の可能性があるだろう。巨人の監督がDVを行い、逮捕された。社会的な影響は大きく、それが監督辞任という結論の理由で、それは仕方ないものだったかもしれない。ただその一方で、プロ野球の監督、しかも巨人という人気球団の監督として社会的に影響力の大きな人物が起こした事件だったからこそ、思わぬ余波が生まれることも考えてほしかった。辞任だけが答えではなかったようにも思う。(スポーツジャーナリスト)