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【内田雅也の追球】ピンチに挑む姿勢 - スポニチ Sponichi Annex 野球
ヒーローインタビューで阪神・才木浩人は「毎回ピンチ背負っていたので、すみませんでした」と苦笑いし、スタンドのファンにわびた。
7回無失点だが、6回裏を除く毎回、計8人(5安打、3四球)の走者を背負った。それでも1人も本塁に還さなかった。粘りが光った。今季の才木は踏ん張りどころのピンチで痛打を浴びるシーンが散見されていた。走者得点圏では前日まで69打数18安打で被打率2割6分1厘と比較的打たれていた。また、粘りの投球の目安と言える残塁率(許した走者のうち、残塁させた走者の割合)は、セ・リーグ規定投回数到達者で最低の70%台序盤、平均的な数値でしかなかった。この日は残塁率100%の粘りで、5月24日以来となる6勝目の勝ち星を手にした。要所では投手チーフコーチ・安藤優也は2度、水を手にマウンドに歩んだ。4回裏2死二塁で8番打者のエリック・ティマを迎えた場面はフォークで捕ゴロに取った。7回裏2死一、二塁で浦田俊輔を迎えた場面は速球で一ゴロに切った。他に5回裏2死二塁でトレイ・キャベッジを迎えると捕手・梅野隆太郎がタイムを取り、速球で押し込んで右飛に仕留めた。才木も「ピンチの時にまっすぐでしっかり押しながらいけた」と話した。梅野も走る速球に手応えを感じており、打者を牛耳ることができた。これが本来の投球だろう。進学塾人気講師だった木下晴弘の『涙の数だけ大きくなれる』(フォレスト出版)に<逃げればピンチ。挑めばチャンス>とある。<挑むことによって磁場が変わり、力を引き寄せる>そうだ。監督・藤川球児はふだん「守っていても、向かっていく気持ちが大切だ」と説く。この夜の才木は挑んでいき、ピンチをチャンスにかえたのだ。巨人戦10連勝は11連勝の権藤博をはじめ金田正一、星野仙一、山内泰幸と過去4人しかいない。才木はまた歴史に名を刻んだことになる。「打倒巨人」は「伝統の一戦」を戦う阪神の宿命だ。球団創設時、「猛将」景浦将や、後に「初代巨人キラー」となる西村幸生らは「巨人を倒したい」との思いで入団を決めた。挑む姿勢こそ「虎の血」だろう。今季は特に優勝を争うライバルとなる。才木が「巨人キラー」ならば心強い。 =敬称略= (編集委員)