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【内田雅也の追球】名言のように「待つ」 - スポニチ Sponichi Annex 野球
大リーグの名将、アール・ウィーバーが語っていた「野球は投手力、守備力、そして3ラン本塁打」を地で行く試合だった。
阪神先発の高橋遥人は8回2失点でハーラーダービー独走の11勝目をあげた。前回登板の7日巨人戦で敗戦投手となり、開幕からの連勝は10で止まった。復調へ大切な登板だったが、8回裏を除き、回の先頭打者に出塁を許さなかった。5得点はすべて本塁打であげた。1回表に森下翔太23号ソロ、佐藤輝明19号ソロと2者連発。そして、1点リードの終盤8回表、佐藤輝が20号3ランを放ち、勝利を決定づけたのだった。監督・藤川球児も3ランの大きさを話した。「中盤にノーアウトのところで少し展開が……ってところが出てきますからね」。6回表無死一、二塁を逃し、嫌な流れだった。「そのなかで佐藤が3ラン、大きなホームランを打ってくれましたから。9連戦のスタートとして十分なゲームができたと思います」ウィーバーの名言にはもう一つ「守備力」がある。先に書いた嫌な逸機の直後、6回裏に相手に流れを渡さなかったのは好守備があったからである。先頭の俊足、岡林勇希の二塁ベース寄りのゴロを中野拓夢が素早い動きと好送球で刺した。続く細川成也の中堅フェンス際大飛球を近本光司がジャンプ一番好捕した。まだ1点差の段階、出塁を許せば、簡単にはいかなかったことだろう。ウィーバーがオリオールズ監督として地区優勝6回、リーグ優勝4回、ワールドシリーズも制したのは1960~80年代である。先の名言も当欄で過去に何度か引用してきた。その心はバントやヒットエンドラン、盗塁を好まず、豪快な攻撃を目指したところにある。一方で統計や相性を重視して用兵を行う繊細さも持ち合わせていた。この夜の藤川も攻撃時に作戦的な指示を出す時すらなかった。走者がスタートしたのは8回表1死一塁、森下がフルカウントの時だけだった。用兵も代走、代打と1度の投手交代だけだった。作戦や用兵で指揮官が忙しいより、暇な方が望ましい。ベンチで投手の好投、主軸の快打を待っているわけだ。「待つ」のも立派な采配である。頭の中はフル回転していても、どっしり構えている方がいい。 =敬称略= (編集委員)